ISO14001の規格が間もなく改正される予定で、その内容は私の業務ホームページ「ISO14001規格改正内容と組織への影響」で紹介させて頂いています。
特に、大きな変更点の一つは、マネジメントシステムの範囲を、管理できなくても影響を及ぼすことができる範囲に広げなさいという点で、アネックス.3.1では8つの分野を指定しています。
その一つに、「f.原材料及び天然資源の抽出と配送について」という項目があります。
この例にいて、自分自身ある思い出があります。
昨年、ある包装資材メーカーのISO9001/14001統合マネジメントシステムのお手伝いをさせてもらいました。
そのときに、次のようなやりとりがあったことを覚えています。
うちは、環境とコストを考え、お客さまに
・木箱梱包でなくとも強度的に問題がなければハイプル(強化ダンボール)をおすすめしています。
・木箱の場合も、針葉樹ではなく広葉樹をおすすめしています。
大変、よい話で、これが「原材料及び天然資源の抽出と配送」という項目に該当すると思います。
当時は、ISO14001:1996年版で、この環境側面の環境影響を系統的にアセスメントしなかったように思います。
しかし、改正版からは、もう少し突っ込んだ評価が必要だと思います。
お客様の方でも、検討されることと思いますが、最近、日経ビジネスイノベーター渡辺パコ氏の「雑木林の保全とビジネス」や関連するホームページを見て、以前よりクリアになったような気がするので紹介します。
●なぜ針葉樹より広葉樹がよいか?
針葉樹は伐採すると、新たに植林をしなければ元の自然にかえることは難しい。広葉樹とはコナラ、ミズナラ、クリ、ヤマザクラ、アオハダ、リョウブ、エゴノキ、クワなどので、切り株から自然萌芽する。
特に、今、問題なのはロシア・シベリア産の針葉樹が日本に輸入され、ホームセンターはもちろん、材木店でも、販売が急増していることです。
以下は渡辺パコ氏のページからの引用です
シベリアの原生林を伐採すると、環境上、大きな問題を引き起こす。
a. 伐採による原生林の消失
b. 日陰を失うことで、大地の下に眠る永久凍土が融け、湖になり、その後、砂漠化して、森林は永久に失われる。森林が吸収するはずのCO2が吸収されない。
c. 湖になる過程で倒れた樹木が、微生物分解される過程で、メタンガスが発生。メタンはCO2の20倍以上の温暖化効果を発揮する。
d. 永久凍土が融ける過程で、氷の中に閉じこめられていた大量のメタンガスが発生。温暖化を加速する。
というプロセスで、温暖化が加速する。温暖化は極地方の方が数倍強く、早く起こるので、夏の気温が上がり、毎年広範囲の森林が、森林火災で失われるようになっています。シベリアの原生林を切ることは、地球の肺を削っていくような、危険な行為なのです。
日本人は、大量の森が身近に使われずにあるのに、それを放置し、安いからという理由だけで、シベリアの森林、地球の肺を破壊しています。
― 引用終わり ―
●なぜ木箱よりハイプル(強化ダンボール)がよいか?
次のホームページを参照しました。
全国製紙原料商工組合連合会 http://www.zengenren.com/
財団法人古紙再生促進センター http://www.prpc.or.jp/
ここの情報源から、少しまとめてみます。
○日本の紙・板紙の総生産量は約3000万トン
○国民一人あたりの消費量は約250Kg(世界平均は50kgちょっと)
○全原料の半分以上、年間で約1650万トンの古紙が原料として使われている。
○残り約1350万トンの原料が原木から新たに作られるバージンパルプであり、約
3000万トンの木材が使われていることになる。
即ち、約60%がリサイクルされている。
また輸入・国内を含めた木材全体の96%が製材の廃材や間引きで切られた間伐材などを利用しており、丸太は全体の4%にすぎない。
一方、木箱の材料である木材の64%が輸入材で、これらは使用後埋め立て又は焼却処分されリサイクルされることはない。
●熱帯産木材使用にかかわる問題
現在、毎年日本の面積の約半分の広さの熱帯林が農地への転用、非伝統的な焼畑移動耕作の増加、過度の薪炭材採取、不適切な商業伐採、過放牧、プランテーション造成、森林火災等により減少しています。
異常伐採については2000年以来、ITTO(国連の下部機関)が活動を行っていますが、最終的には森林認証を行って森林認証されたところから木材を買うという方向に進みそうですね。
そうですね。グリーン購買も、ここまで踏み込んで検討しないと効果がでないでしょうね。