はじめに

環境コンサルタント・EA21審査人として、日ごろの活動で気づいたことを紹介しています。
ここでは、最近の5件のブログを表示します。過去のブログを見るときは左のカテゴリーより入ってください。

グリーン購入目標の指標について その2

 前回は原材料・資材のグリーン購入目標の設定について、私の見解を述べましたが、もう一つ事業者の方が戸惑っていることに「文房具・オフィス用品のグリーン購入」があります。
 ある会社で、私が審査の際に文房具・オフィス用品についてグリーン購入比率の目標設定をするよう指摘すると、かなり戸惑っておられた。その理由は、グリーン購入比率の算出に手間がかかることと、グリーン商品をどのようにして見つけ出すかという点を心配しておられるようであった。
そこで、これを簡単に実施する方法を紹介します。

 最近は、どこの事業所でも文房具やオフィス用品は、注文すると直ぐに届けてくれる通販を利用されている場合が多いようです。
通販の中には、お客様のグリーン購入のニーズに合わせて、グリーン商品の品揃えの充実とグリーン購入比率のデータ提供をされている会社が数社ある。
現在利用されている通販会社を、そのようなサービスを行っている通販会社に変更することにより、簡単にグリーン商品の選択やグリーン購入比率のデータのダウンロードができるようになります。
以下に、その通販会社のサイトを紹介します。

【カウネット】
 文房具、OA・パソコン用品、オフィス用品、オフィス家具、生活用品など約66,000品番があり、その内 約14,000品番がグリーン商品です。

 ⇒ グリーン商品のページ
  グリーン購入比率のデータ提供の手順は、このページの「ポイント3」に記載されています。

【アスクル】
 文房具・事務用品から電化消耗品、事務機器まで、約49,000アイテムがあり、その内 約10,000アイテムがグリーン商品です。

 ⇒ グリーン商品のページ
 ⇒ グリーン購入比率のデータ提供のページ

【スマートオフィス】
 オフィス用品、文房具、事務用品の品揃えという3本の柱、約28,000アイテム
販売業者の顔が見える安心感により、「効率的かつ安心感のある、満足度の高いサービス」を提供してくれる会社です(あるサイトの会社紹介より引用)。

 ⇒ グリーン商品のページ
 ⇒ グリーン購入比率のデータ提供のページ

2012.05.30.22:19 | Permalink | Comments (0) | Track Backs (0) | a EA21で気づいたこと

グリーン購入目標の指標について その1

 私はエコアクション21の審査人をしているが、1月から5月までに9社の審査をさせていただきました。なぜか、審査時期が上期に集中していて、下期には殆ど予定がない。こんな関係もあって、ブログはしばらく中断していましたが、久しぶりに記事を書いています。
 エコアクション21は2009年版になり、環境目標に「化学物質使用量の低減(化学物質を使用している場合)」「グリーン購入」「自らに生産・販売・提供に関する製品及びサービスに関する項目」を設定することが必須要件となった。
これまでの審査の過程で、このことに関して受審事業者の方々の中に幾つかの戸惑いがあるように感じましたので、以下に解説します。

 環境目標に追加となった項目の中で「化学物質の使用量」については、どのように調査するかという点で戸惑っておられるようでした。この点については、化学物質が含まれていると思われる原材料や副資材についてMSDSを取り寄せ、調査すればよい。
具体的な方法は、私が作成したEXCELシートを公開しますので参照ください。
 ⇒ 化学物質使用量の調査方法

 「自らの生産・販売・提供に関する製品及びサービスに関する項目」とは、ISO14001の「影響を及ぼすことができる環境側面」とほぼ同じことなので、その事例については、このブログの「影響を及ぼすことができる環境側面」を参照してください。

 ややこしいのは「グリーン購入の対象品目の決定と目標指標の設定」です。
グリーン購入の対象は「文房具・オフィス用品」「自らが生産・販売する製品の原材料や資材」「事業のインフラとしての設備・機材」の3つに分けることができる。

 「文房具・オフィス用品のグリーン購入」については、次回に説明しますが、このブログでは「自らが生産・販売する製品の原材料や資材のグリーン購入」について、私の見解を説明します。

事業者の方々が「原材料や資材のグリーン購入」について戸惑っておられることは
(1)「原材料や資材のグリーン購入」と「環境配慮製品の販売」との境界線をどのように線引きするか。
(2)グリーン購入の基準は何か。
という2点であると思います。

(1)「原材料や資材のグリーン購入」と「環境配慮製品の販売」との境界線
 具体例で説明します。
例1) ある機械装置・機器の卸売り商社の場合
 卸小売業では、基本的に購入製品=販売商品となる。
この商社では従来から、省エネ性能の高い装置・機器を調査して「省エネ商品」として顧客に紹介し、環境配慮型製品の販売を促進してきた。
しかし、購入製品=販売商品であるからと言って、これを持ってグリーン購入を実施しているということにはならない。
この商社が購入する製品の7割は、カタログ等より顧客が指定したもので、残り3割が商社自らが商品を選択購入したものである。この部分がグリーン購入の対象になる。
この場合、顧客のニーズや取扱商品の種類から言って、グリーン購入の基準は、有害化学物質を含まないこと(製品の安全性)であると思います。

例2) ある自動車整備・販売業の場合
 この場合も、例1)と同じことが起きていた。
自動車の整備・販売の過程で、顧客の指定によるものと、自社が選択できるものに分けて考える。
エコ整備、エコタイヤ、エコオイルは、標準のサービスや製品より、価格が高くなり顧客の選択により採用、不採用が決定されるので「環境配慮製品の販売又はサービス」になる。
一方、修理に使うパーツ(中古部品かどうか)、バッテリー、電装品は、整備する会社が主導権を持って選択するのでグリーン購入製品の対象になる。

例3) ある住宅建築業の場合
 この会社では、高機能、高断熱、人にやさしい安全・安心の住宅を“売り”にしている。これは「環境配慮製品の設計・施工・販売」そのものである。ところが、グリーン購入ではエコアクション21の環境負荷表に記載されている「循環資源」という言葉に捉われて、再生石材、再生ボードしか対象にしていなかった。
グリーンな材料・資材は「循環資源」に捉われる必要はない。自社のエコ住宅のコンセプトに合わせて、自社で設定した基準に合致したものをグリーンな材料・資材と位置付ければよい。
調達する材料・資材の中で、地元産の木材の採用、水まわりや電化製品については価格との関係で顧客側が選択するものなので「環境配慮製品の販売」の方に入るが、断熱材、フローリング、殺虫剤などは、自社で基準を作り選択するのでグリーン購入の方に入れる。

(2)原材料・資材のグリーン購入の基準
 これは自社が生産・販売する製品の、環境に関する製品の目標に合わせて自社で設定すればよい。
前記の機械装置・機器の商社の場合は、顧客に輸出をする製品を製造するメーカーが多くRoHS指令、REACH規則などが重大関心事項となっているので「有害化学物質が含まれていないこと」が第1番目の基準となる。
また、前記の住宅建築業の場合は、自社のエコ住宅の設計・建築にあった建材であることがグリーン購入品の基準となる。
一方、公共工事など事業上、自社製品を持たない(施工のみの)場合もある。
この場合は 国土総合政策総合研究所 より「公共工事におけるグリーン調達について」でグリーン調達品の基準が示めされているので参照されるとよいでしょう。

 ⇒ 「公共工事におけるグリーン調達について」

2012.05.29.22:15 | Permalink | Comments (0) | Track Backs (0) | a EA21で気づいたこと

環境ビジネスを成功させるには

 先月のエコアクション21全国交流大会の事前アンケートで「従業員4~5名の自動車整備工場で、EA21に取り組んでエコ整備等をPRしているが余り効果が出ないと嘆いている工場があります。どうすればよいでしょうか。」という質問があった。私の審査経験でも、従業員31名の防水工事の設計・施工をしている会社が、売上の落ち込みを回復するために、環境を目玉にしようとEA21に取り組んだが、売上が思った程伸びない。どうしたらよいか。」という質問に出会ったことがある。
エコ商品の消費者アンケートをみると、エコを目玉にすれば売り上げが向上するというほど、生やさしいものであることが分かる。
Eco01

 日経エコロジーが2008年にエコ商品の購入に関する消費者アンケートを行った結果では、「高くてもエコ商品を買う」という人は全体の2.4%で、「できるだけエコ商品に気にかけている」と答えた人は全体の33%である。「出来るだけエコ商品に気をかけている」とは、同等品質で価格が同じか安い場合は買うということであろう。

 では、どう対応すればよいかということであるが、先月の北陸経営品質フォーラムでウィンクルの塩山先生より“弱者の経営戦略 ― ランチェスター戦略”の話を聞いた。
面白そうなので、ランチェスター戦略の本家、竹田陽一先生の「小さな会社の儲けのルール」を購入し読んでみた。
 
要点は
ランチェスターの法則
第1法則 射程距離が短い一騎打ち的な(例えばヤリで戦うような)戦では、勝敗は
 [(兵器の性能)×(兵員数)] の差で決まる。
第2法則 射程距離が長い兵器(例えばライフルや砲撃)を使って戦う戦では、勝敗は
 [(兵器の性能)×(兵員数の二乗)] の差で決まる。
これを、経営にあてはめると、兵器性能は商品力、兵員数は営業回数に当たる。
第1法則は訪問販売、第2法則は店頭販売に当たる。

 業界のトップシェア以外の会社は、全て弱者であり、弱者が強者のまねをしても勝てる筈がない。
先に紹介したエコ整備やエコ防水工事をPRし売上向上を目指した企業は、業界のトップ企業ではないので弱者であり、ランチェスターの第2法則にあてはめると、商品力がよくても、売上は営業力の差の二乗で効いてくるので勝てない(売上が向上しない)ことが分かる。

では、どうすればよいかというと
(1)ランチェスターの第1法則が適用できる接近戦に持ち込むこと。すなわち、それぞれの顧客と顔が見える形で密接な人間関係を築くこと。
(2)業界のトップ企業が出て来られない分野をねらって、ナンバーワンになる特徴を一つ以上持つこと。
「小さな会社の儲けのルール」では、そのためのエリヤ戦略、客層戦略、営業戦略、顧客戦略、時間戦略の具体例が紹介されている。
エリヤ戦略、客層戦略は事業のやり方そのものの見直しを必要とするが、既存の経営スタイルで効果を上げるには、営業戦略、顧客戦略、時間戦略がポイントとなる。
あらゆる機会を通して、エコ商品の意味や関連情報を発信すること。個々の顧客それぞれの立場、期待、ニーズを把握して、状況にあった提案をすることが必要である。
塩山先生の話では、初めての顧客には、少なくとも6回位続けて会わないと心を開いてくれない、とのことでした。

興味のある方は、一度下記を読んでください。

⇒ 小さな会社・儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略
⇒ 小さな会社★NO.1のルール ランチェスター経営1位作りの成功戦略

2011.12.17.22:12 | Permalink | Comments (0) | Track Backs (0) | a EA21で気づいたこと

環境保全の改善案のベンチマーク

 ISO14001であってもエコクション21であっても、紙・ごみ・電気・水など社員全員意識向上と手軽にできる改善をし終えると、その次の改善活動が停滞してくる。
引き続き継続的に改善活動を推進するには次の2つがある。
一つは「本来業務の環境側面の改善」でありに、この点については、先にブロク
 ・本来業務の環境改善
 ・本来業務の環境改善 その2
で紹介しました。

もう一つは、コスト改善や利益向上を兼ねた環境保全やしくみへの投資です。
この場合は、よいアイディアがないとうまく行かない。
アイディアを出すには、先進事例をベンチマークすることから始めるのが効率的である。また、実施に当たっては、補助金・助成金・融資制度・国内クレジット制度を活用することにより投資回収年が短くなり、採算がとれるようになる。

以下にエコアクション21全国交流大会(金沢)の発表原稿を作成するときに調べた先進改善事例や助成金・補助金制度へのリンク先を紹介します。

1.省エネ・再生可能エネルギ-の利用
 <工場・ビル・運送・民生部門>
 ・国内クレジット制度改善事例
 ・国内クレジット制度アイディア100選(業種別)
 ・東京都地球温暖化対策ハンドブックメニュー編
 ・近畿経済産業省「中小企業からの省エネの風」
 ・省エネルギーセンター「工場・ビル・荷主産業の省エネ」
 ・関東経済産業局「省エネルギー取組事例集」

 <建設・廃棄物処理>
 ・日本建設機械化協会 建設施工における地球温暖化対策の手引き
 ・北海道開発局 建設現場からのCO2削減の手引き(案)
 ・国交省中部地方局 建設現場で今すぐできる地球温暖化対策
 ・日本建設機械化協会 省エネ運転マニュアル
 ・廃棄物処理業の地球温暖化対策

2.生物多様性
 ・環境省生物多様性民間参画ガイドライン(事例63~108ページ)

3.改善手法
 ・マテリアルフローコスト会計
  ※マテリアルフローコスト会計はISO14051として、2011年度末発行を目標に規格化が進められています。
    ⇒ 日経ビシネスの紹介記事
 ・省エネルギーセンター 無料エネ診断


4.環境経営に対する補助金・助成金等
 ・中小企業庁省エネ施設利用ガイドブック
 ・平成23年度版「エネルギー・温暖化対策に関する支援制度」(関東地域自治体)
 ・金沢商工会議所 かなざわエコ対策対応ネット
 ・国内クレジット制度
 ・省エネ関連事業の補助金(都道府県別)

2011.11.10.22:07 | Permalink | Comments (0) | Track Backs (0) | a EA21で気づいたこと

エコアクション21全国交流大会in金沢を終えて

 11月4日・5日は金沢でのエコアクション21全国交流大会でした。全国から約500人の参加をいただきました。
実行委員の一人として、お礼申し上げます。
今回の大会は、運営面は金沢会議所が全て行ってくれ、審査人は分科会だけに専念すれば良いので助かりました。
それでも、昨年の11月から準備に入って以来、分科会の運営や発表の打合せを10回くらいやりました。
分科会の準備活動はQCサークル活動のようなものですね。私は、その中の1つのサークルのサークルリーダーという立場です。
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 私が担当する分科会のテーマ・内容は先のブログ「環境保全が企業利益に結びつくアドバイス」で紹介した通りです。
当日は意見が沢山出て予定時間の2時間をオーバーしてしまいました。
エコアクション21も制度が発足してから7年目、発足当初は「いかに普及するか」という観点の大会テーマでしたが、今は、「効果のある取組みを如何に継続させるか」という点にニーズが変化してきています。
私の担当する分科会のテーマは、その点に焦点を当てたものだったので、皆さんの関心も高かったようです。

2011.11.07.22:04 | Permalink | Comments (0) | Track Backs (0) | a EA21で気づいたこと