1.リスクマネジメントとは

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リスクという言葉を耳にされると思いますが、リスクとは何でしょうか。
ISO/IECガイド51によると、リスクとは「危害の発生確率及びその危害の重大さの組み合わせ」と定義されています。
事業活動リスクには、顧客や個人の機密情報の漏洩、コンプライアンスに関する不祥事、災害、事故、企業買収やテロといった様々のリスクがあります。

ここでは、主として商品・サービスや労働安全衛生上の事故に関するリスクについてお話します。


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このグラフはイギリス、アメリカ、日本それぞれの災害の発生件数を比較したものです。
日本では、災害発生率はアメリカより少ないが、死亡事故になるとアメリカの2倍、イギリスの4倍も多い。
日本での労働安全活動は、ヒヤリヒヤット、危険予知訓練などの労働者の意識付けを中心とした活動ですが、欧米ではリスクアセスメントに基づく体系的な労働安全衛生活動が義務付けられています。
即ち、リスクアセスメントをやってリスクの高い要因はお金がかかっても全てをつぶしますが、日本のようにヒヤリヒヤットや危険予知中心の活動では、お金のかかる要因は物理的な対策を採らないで、作業者の意識で解決しようとしてしまう。そこに死亡事故がなくならない1つの原因があります。

このようなことから今年4月、労働安全衛生法が改正され社員数50人以上の事業者では、安全衛生管理のためリスクアセスメントを実施することが努力義務となりました。
もし、事業所で災害が発生したときにリスクアセスメント実施していなかった時には、経営者はその責任を問われることになります。


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JISQ2001では、リスクマネジメントとは、「リスクに関して、組織を指揮し管理する、調整された活動」と定義され、偶発的又は人為的な事故を発生させない予防対策と、不幸にして万一事故が発生した場合の緊急時対応と再発防止体制が含まれます。
病院においても医療安全委員会が設置されリスクマネージャーが配置されていますが、どちらかというと、事故対策と再発防止体制に重点が置かれているのではないでしょうか。

ここでは、その前の予防対策を中心に話を進めます。


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リスクアセスメントで用いられる用語について説明します。

ハザードという言葉は、医療機器の安全・食品安全や労働安全衛生で良く使います。
ハザードとは「事故の潜在的な源」で、インシデントとは「事故につながるか、事故をもたらす潜在性を持った出来事」です。
例えば、檻の中にライオンがいるとすると、「ライオン」が危険源です。「ライオンの入っている檻の扉が開けられたままになって、とびかかられそうだ」という出来事がインシデントになります。

故障やヒューマンエラーなどの品質関係では、「フェーラー・モード(故障モード又は失敗モード)」という言葉をよく使います。
失敗モードとは「ハザードから起る失敗の様式及びその程度」のことです。


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プロセスとは、インプットとアウトプットがあってインプットからアウトプットに至る流れの中で付加価値、医療で言えばアウトカムを生む過程です。例えば、これは投薬プロセスです。

プロセス指向とは、アウトカムを達成するプロセスは幾く通りもある。よい結果は、よいプロセスから生まれる。
即ち、医療安全を達成するためには、よいプロセスを設定しなければならない、という考え方です。

 ⇒ 2. リスクマネジメントのプロセス

2006.11.07.14:48 | Permalink | MENU